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2012年6月23日土曜日

【評】ソーシャルゲーム業界の分岐点


 「ソーシャルゲームの業界って勢いあるよね。」「あの任天堂がソーシャルゲームに押されているね。」こんな会話を聞いたことがあった。ソーシャルゲームとは、他のユーザーとつながりながらプレイするオンラインゲームだ。日本では、GREEDeNA代表的な企業である。確かに、最近、GREECMがよく流れるようになったし、去年プロ野球球団の横浜ベイスターズをDeNAが買い取っており、勢いがある業界なのだなとは感じていた。しかし、実際肌で感じる感覚は違っていた。周辺でソーシャルゲームをしている人に全く出会わなかったからだ。若者向けが中心の顧客であるはずなのに、大学生である私の周りで見かけない。ただ私が属している共同体が特異なだけなのかと思っていたが、「コンプガチャ問題」の報道を見て、私の感覚が的外れでなかったことを確信した。
 ガチャとは、料金を支払うとアイテムを手に入れられるガチャガチャを模したものだ。アイテムをコンプリートしたら貴重なアイテムを手に入れることができる。しかし、ガチャでどのアイテムを手に入れられるかはわからない。よって、ユーザーは多額なお金をつぎ込んでしまいやすい。このシステムが消費者の射幸心を煽っているとして、問題となったのがコンプガチャ問題だ。
 一連の報道で、ソーシャルゲーム業界は、一部のユーザーから多額な料金を得ていることがわかった。そして、月に万単位の料金を支払うユーザーによって成長を遂げていることがわかった。就活生向けの説明会で某大手ソーシャルゲーム会社が、一部のユーザーを相手にしていると明言していることからも、そのことが察せられる。
ソーシャルゲーム業界は、このような一部の消費者に依存したビジネスモデルの構築ではなく、もっと消費者の幅を拡大させる努力をすべきだ。一部を相手にすると、射幸心を煽るようなシステムに陥ってしまう。今回明らかになった問題と真摯に向き合い、ソーシャルゲーム業界の新たな出発にしてほしい。そして、社会に受け入れられたときには、持続性がある「勢い」を手に入れることができるだろう。

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