福島の原発事故を契機に、日本で原発のあり方について議論が活発になった。あのような事故が起きたのだから自然の流れだろう。ただ、メディアがこの議論を取り扱うとき原発容認と反原発に単純2分化してしまっている。これは議論に誤解を生むゆゆしき問題だ。
メディアは議論をよく2分化する。原発容認と反原発。消費税増税賛成と反対。2分化した方が、視聴者にはわかりやすいからだ。しかし、2分化することは、視聴者に誤解を生むことが多い。だいたいは正しい区分ではないのだ。原発容認といっても、原発を増やすべきと考える人もいれば、現状維持を支持している人もいる。原発反対の人といっても、すぐに止めるべきと考えているかもしれないし、長期的に止めていくべきと考えている人かもしれない。もしかしたら長期的になくすべきと考えている人は、原発容認に入っているかもしれない。2分化しても、それぞれ多様なのだ。この多様性を排除して報道するために視聴者に誤解を与えかねない。
さらにメディアが単純に2分化することで、それを受けて、視聴者は議論する者を正と悪に2分化してしまう可能性を孕む。正しくない2分化によって、議論する者は正・悪のレッテルを貼られる。2分化以外の多様性の意識がうすれ、2分化を基本に視聴者は思考してしまう。これは議論を正しく理解できない。さらに、2分化を基本に議論が行なわれるようになれば最悪だ。
2分化の問題は、メディアのあらゆる場面で見受けられる。メディアはその姿勢を改め、視聴者は、そのような報道に踊らされないようにしなければならない。
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