今年は猛暑日が続いているが、今のところ全国の電力に余裕がある。関西地域を始め全国で、計画停電も行なわれていない。このような中で、大飯原発の再稼働は不要だったとの論が見受けられるようになった。このような結果論は、リスクの視点が抜け落ちている。
関西地域では7月27日に、最も電力が逼迫した。その日の供給は3003万kw、ピークの需要は2650万kwであった。大飯3・4号機の出力は240万kwなので、3003-240=2763万kwが原発なしでも供給でき、需要を上回っているので再稼働は不要だったとの主張がある。これは間違っている。原発の電力で揚水を行なっているので、その分も差し引くと供給電力は2542万kwとなる。これは、需要を明らかに下回っている。すると、他の電力会社からの融通で足りるという主張がでる。そのときに、他の電力会社が十分融通できたかも怪しいが、結果的に足りていたなどという主張は、リスクを考えていない。
もし停電になっていればどうなったか。自家発電を持たない小さな病院では死者がでていたのではないか。高齢者はこの猛暑の中、耐えられただろうか。経済活動への打撃も十分にある。また、再稼働をしなかった時点で、さらに厳しい需給予測がされ、企業が関西から流れたり企業活動を縮小したりして、経済的損失を生んでいただろう。このようなリスクを想定せず、ただ結果だけで論を張ることはできない。今回の結果は、これからの予測や指針に活かすことはできたとしても、実際に原発なしでは需要が供給を上回る事態が起きているため、再稼働をした判断への反論にはなりえない。しっかりリスクと向き合ったうえで、原発再稼働を考えなければならない。
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