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2012年7月5日木曜日

【評】レバ刺しと大麻


 食品衛生法の規格基準が改正され、7月からレバ刺しの提供が禁止された。違反すれば、2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科される。
 昨年、富山県の焼肉店でユッケを食べた5人の客が、食中毒にかかり死亡した。それを契機に、厚労省は食品衛生法の見直しについて議論を活発化させてきた。平成10年から、幼児や老人に対して生食を控えるように、各自治体に通知を出すなどの注意喚起を行なってきたものの、生食に対する管理の有効性について疑問符がついたのである。
しかし、今回、提供が禁止されるのはレバ刺しであり、ユッケではない。生食ではあるのだが、レバ刺しでの死亡事故の記録は残っていない。もちろん、レバ刺しを禁止にするのがおかしいということではない。死亡事故を起こるのを未然に防ぐという観点からの改正だからだ。ただ、犯罪とは何かを考えるきっかけとなった。
今まで犯罪でなかったことが、法改正の日を境に突然犯罪になる。法によって犯罪が作られる。今回も法改正により、レバ刺しを提供することが犯罪と化した。このような犯罪を作り出す法改正の議論は、日頃から盛んに行なわれている。最近、脱法ハーブの売買についての報道が多くされているが、これも新しい犯罪を作るべきだという議論だ。
法改正には、レバ刺しや脱法ハーブの件のように犯罪を作り出すことだけではなく、今まで犯罪だったことを改めることも考えられる。例えば、大麻吸引。世間はこの行為を犯罪として認知している。しかし、大麻は、たばこより毒性・依存性が低いことを示す論文が複数発表されている。たばこが合法であるならば、大麻が違法なのはおかしいと主張する人がいる。その主張に賛同するわけではないが、犯罪は絶対的なものではないことを知らされる。
法は絶対正しいものではない。よって、法に定められている犯罪も絶対的なものではない。このことを常に頭にいれながら、法律を見つめ続けることは重要である。

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