-学問と実務の架け橋を目指して-

2014年6月3日火曜日

【企】イオンの戦略


小売業大手のイオンは2016年度までに首都圏で小型ディスカウントショップ店「アコレ」の出店を加速させることがわかった。アコレは、コンビニエンスストアの2倍程度の小型店で、PB(プライベートブランド)をはじめとする低価格商品を販売する。

これは、イオンの成長戦略である「首都シフト」の一環である。イオンの主力収益源として、地方の大型スーパーがある。しかし、その多くは、高齢化により将来を有望できない。総合スーパーが想定するモデルである車での来場が高齢者には難しいからである。また、総合スーパーは衣料品をファストファッションチェーンに食われ、厳しい状態にある。
そのような背景から、イオンは小売業売上高トップでありながら、時価総額はセブン&アイ・ホールディングスや、ファストリテーリングよりも小さい。

2013年度に完全子会社化したダイエーの止血など、課題は他にも多いが、首都圏戦略の成功が、イオンの将来性への鍵となる。


2014年5月13日火曜日

【デ】景気を測る指標


内閣府は、12日に4月の景気ウォッチャー調査の結果を公表した。2〜3ヶ月先の景気をみる先行き判断指数は50.3となり、前月と比べ15.6ポイント上昇した。現状判断指数は41.6で、前月比16.3ポイントの大幅な低下となった。消費増税での落ち込みは、一時的であるとの見方が大勢であると解釈できる。

さて、この景気ウォッチャー指数とは何なのか。2000年から内閣府が毎月公表している、景気動向を測る1つの指標である。小売店の店主やタクシー運転手、レジャー業界など景気に敏感な職種の人々を調査対象に、現状の景気動向や2〜3ヶ月先の景気の見通しなどをインタビューして、景気動向を分析する。対象者を職種で絞っている点が特徴的であり、またインタビューによって景気を直接質問しているので、景況感を抽出できると考えられる。

他に景気を知ることができる指標は何があるだろうか。その代表的な指標として、同じく内閣府が公表している景気動向指数がある。「、雇用など々な経済での重要かつ景に敏感に反する指きを合することによって、 状把握及び将来予するために作成された指である。」(内閣府HP)
この指数は、景気変動の大きさや量感を示すコンポジット・インデックス(CI)と、景気の各経済部門への波及度を示すディフュージョン・インデックス(DI)に大別される。CIによって、景気の拡張・後退は判断できる。しかし、変化の度合いまで判断したいのなら、DIも加味しなければならない。現在の内閣府は、CIを中心としながら、DIも参考指標として公表している。
また、CIDIは、景気の変動と比較して動きがどのように動くかという基準から、先行指数、一致指数、遅行指数3つの指数をもつ。それぞれ、11系列、11系列、6系列公表される。詳しくは、http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/menu_di.html を参考にされたい。
景気動向指数は、インタビューではなく、生産指数など実体経済のデータから算出している点と、理論的に分析している点に特徴がある。

日銀短観(企業短期経済観測調査)には、景気指標として用いることができる指標がある。日銀短観は、日本銀行が3ヶ月ごとに、上場企業や中小企業に業況調査であるが、その1つである、好況感を感じている企業の比率から好況感を感じていない企業の比率を引いたDIという指数は、景況感であると捉えることができる。


景気(景況感)は、実体があるものでなく、また明確な定義はない。よって、GDPを景気と捉えてもいい。景気を測る指標を探すときには、捉えたいものが何かを定めたうえで、それに適する指標を探す、もしくは作成しなければならない。

2013年6月29日土曜日

【評】ネット選挙解禁

 721日に、参議院選挙の投開票が行われる。追い風の吹く自民党ないしは与党で、参議院全体議席の過半数が取れるか、いわゆる長らく続いたねじれ国会に終止符を打てるかが注目される。しかし、今回の選挙の注目点は、結果だけではない。日本において、ネットを使った初めての選挙で何が起きるかも注目される。
 今までは、政党や候補者による選挙期間中(公示日から投票日前日まで)のネットを使った広報活動が、公職選挙法によって禁止されていた。電子メールを使って有権者に投票を呼びかけることやブログを更新することなどが禁止されていた。これらのことが、今回の選挙から解禁されるわけである。ただ、ネットによる投票ができるようになるのではないので、勘違いしてはいけない。本来であれば、ネット選挙とはネットによる投票をも意味していたはずだが、いつの日からか意味が矮小化されてしまった。(ここで、ネットによる投票を解禁すべきだと、主張するわけではないのだが)
 今回解禁されるネットにおける広報活動が、今まで規制されていたことは、不自然であった。有権者が政党や候補者の情報を得るためのコストを考えると、ネットの優位性は高い。有権者はネットを使えば、簡単に情報を得られるし、政党や候補者にとっても、情報を発信しやすい。この情報の共有力の点で、ネット選挙解禁のメリットは大きいはずである。
 しかし、ネット選挙が解禁になれば、このメリットが完全な形で機能するとは考えにくい。私たちは、あらゆるメディアから情報を入手しているが、その接触するメディアはそもそも私たちが選択している。私たちは初めから態度や意見を持っており、選択的にメディアに接触するわけである。これは、ネット選挙における、有権者の政党・候補者の情報に対する接触でも起きる可能性がある。自民党支持者なら、自民党や当政党の候補者のTwitterはフォローするかもしれないし、ブログも見るかもしれない。しかし、その他の政党や候補者のTwitterやブログを見るかと言われれば、あまり見ないのではないか。よって、政党支持者には今までの態度や意見の強化にだけ効果が出る。票の移動ではなく、固定化が一層起こる。ネットの情報共有力は限定的なものとなる。
 ただ、無党派層にはどうだろう。無党派の人たちは、一様に政治的に無関心であるかのようにいわれるが、決してそうではない。積極的に無党派となっている有権者が多く存在する。そのような積極的無党派層を動かすことはできるかもしれない。彼らは、政治的関心はあるので、情報に接触してくる可能性がある。しかも、政党支持による選択的接触が起こらない。ここにネットが選挙を動かす可能性が存在する。
 ネット選挙が解禁されて、初めての国政選挙。いろんな仮説は考えられるが、実際どうなるかはわからない。選挙後の検証を楽しみにしておこう。


2013年4月6日土曜日

【評】英語教育改革


 新学習指導要領により、今年から高校で行われる英語の授業は「英語で行うことを基本とする」ことになる。従来の授業は、日本語を基本としていたため、生徒の文法や読解の能力は向上できるが、リスニングやスピーキングの力は伸ばしづらかった。英語を基本とすることで、日本でよく揶揄される「受験英語」を打破しようとの試みである。
 日本人が英語を苦手とする理由は、英語教育で解釈されやすいが、ではさらになぜこのような教育がまかり通っていたのかを考える。これには大きく2つの要因があるように思える。
 1つ目は、日本の場合、英語が使えなくてもある程度、学問ができてしまうからである。先人たちの業績により、欧米で発達した学問を輸入し、多くが日本語に翻訳されている。専門用語も作られ、日本語で学問を語ることができる。よって、日本語だけで大学を卒業できてしまう。そして、そのことは、大学が入試に英語のリスニングやスピーキング科目を導入するインセンティブを小さくしている。
 2つ目は、日本には、多くの大企業があり、わざわざ外国の企業に就職しなくても豊かな生活を送れるからである。例えば、韓国では、近年、世界的に見ても大規模な企業が出現してきているが、日本と比べればまだ数が少ない。サムスン系列に就職出来ればよいが、パイが少ない。すると、外国企業に就職することも視野に入れ、英語の勉学に励むだろう。
 しかし、最近は日本の企業もグローバリゼーションの波に入り、英語の必要性が叫ばれるようになった。このことが、日本の教育改革にもつながっている。ただ、高校英語の改革についていえば、当該新学習指導要領だけでは、効果的な改革が行われるか甚だ疑問である。早くも「英語を基本」とする指針を守らないだろうという声が、高校教師から発せられている。
では、高校教育で実践的な英語教育がなされるためにはどうしたらよいか。高校の授業を受ける生徒は、大学入試を目指して勉強しているため、大学入試に実践的な英語の科目を導入することが一番効果的な改革となるのではないか。これは国というよりも、大学の役割である。今の社会が必要とするものに大学は答えなければならない。
国からの指針だけでは限界がある。教育内容を変更するだけでは十分ではない。改革をするときに、対象とする本人(生徒)の目的を鑑みないと、制度も機能しないし、効果的な改革は行えない。

2013年4月5日金曜日

【評】「期待」の効果



昨日の金融政策決定会合で、大規模な量的・質的金融緩和の導入が決定された。政策目標を政策金利からベースマネーに転換し、それを2年間で倍増させる。ベースマネーは、過去13年間で2倍になっていることを考えると、2年で2倍は、急激な伸びだということがわかる。また、国債買入に加え、ETFJ-REITのリスク資産も買い増す。中長期の借入金利を引き下げ、設備投資を促すことを意図している。
白川方明前総裁の時代は、マネーサプライを増やしても投資や消費に結びつかないとして、量的緩和政策に対して慎重な姿勢であった。黒田東彦総裁が、その方針を転換した。しかし、狭義の量的緩和もリスク資産購入も、効果があることの実証結果が乏しく、疑問を呈す人は多い。ただ、今回はなにかよくわからないが「期待」があるようである。このことは今までとは違う点かもしれない。実体経済の動きは未だ芳しくないにも関わらず、「期待」が株価を押し上げている。
人は「期待」で動くのだろうか。実体経済へ効果が波及するのだろうか。日本において、壮大な「実験」が始まった。経済停滞で苦しむ世界各国からも注目されているようである。未だにこの政策効果に関する説得的な学説が存在しないこと、またベースマネーがすでに高水準であることからすると、何も起こらず、ただ副作用だけ残るという不安もあるし、大規模な政策ゆえに、バブル到来の不安もよぎる。「実験」なだけに、一見、相対する2つの不安がつきまとう。

【雑談】歌舞伎とメディア



 建て替えた歌舞伎座のこけら落としがあったようで、メディアはこぞってそのことを報道している。でも、歌舞伎ってそんなにみなさんに身近なものなのでしょうか。興味の対象なのでしょうか。なにか、メディアと視聴者との乖離が見られるような気がするなーと。
 とか言いながら、いつかは見に行ってみたいなと思っちゃったり。ん?メディア報道のせいかな。
 ということを、たまたま新生歌舞伎座の前を通り過ぎながら思った。

2013年3月28日木曜日

語学



これからの一年間、英語を集中的に学ぶ

さらに、中国語も学び直す。