昨日の金融政策決定会合で、大規模な量的・質的金融緩和の導入が決定された。政策目標を政策金利からベースマネーに転換し、それを2年間で倍増させる。ベースマネーは、過去13年間で2倍になっていることを考えると、2年で2倍は、急激な伸びだということがわかる。また、国債買入に加え、ETF、J-REITのリスク資産も買い増す。中長期の借入金利を引き下げ、設備投資を促すことを意図している。
白川方明前総裁の時代は、マネーサプライを増やしても投資や消費に結びつかないとして、量的緩和政策に対して慎重な姿勢であった。黒田東彦総裁が、その方針を転換した。しかし、狭義の量的緩和もリスク資産購入も、効果があることの実証結果が乏しく、疑問を呈す人は多い。ただ、今回はなにかよくわからないが「期待」があるようである。このことは今までとは違う点かもしれない。実体経済の動きは未だ芳しくないにも関わらず、「期待」が株価を押し上げている。
人は「期待」で動くのだろうか。実体経済へ効果が波及するのだろうか。日本において、壮大な「実験」が始まった。経済停滞で苦しむ世界各国からも注目されているようである。未だにこの政策効果に関する説得的な学説が存在しないこと、またベースマネーがすでに高水準であることからすると、何も起こらず、ただ副作用だけ残るという不安もあるし、大規模な政策ゆえに、バブル到来の不安もよぎる。「実験」なだけに、一見、相対する2つの不安がつきまとう。
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