ロンドンオリンピックが閉幕し1ヶ月半以上が経った。もう日本を包んだ熱気は冷めてしまったが、メダリスト達の銀座パレードの盛り上がりを見れば、どんなに盛り上がったかがわかる。パレードには50万人の人が集まり、1日で経済効果は80億円(関西大学、宮本教授調べ)だったらしい。オリンピックが開催されたイギリスでの盛り上がりはどうだったか。1つの指標として経済効果で見てみよう。大手銀ロイズ・バンキング・グループ調べによるとオリンピックにより、2005年から2017年の12年間で165億ポンド(約2兆円)の経済効果があるそうだ。
「経済効果○○億円」はニュースでよく聞くフレーズだ。オリンピックでの盛り上がりの指標として、経済効果を示してきたが、みなさんはピンときただろうか。「すごそうだな」くらいしか思わなかったのではなかろうか。これは実感が伴わないためだ。経済効果というものはマクロな数字であり、集計されたものだからだ。個人レベルで見ると、必然的に小さくなる。また、個人への還元に偏りがあるかどうかが重要となる。100億円の経済効果があったとして、一部の人だけに還元されればその他大勢にとって意味がないものとなる。しかし、社会は、個人が相互関連しあっているので、経済効果を偏りだけで無意味とするのは適当ではない。
平均すれば経済効果は個人にプラスに働く。例え実感がなくとも、経済効果を無視することはできない。集計レベルの数値を感じられないことにより、ときに弊害を生じさせることがある。東京オリンピック誘致の際、メリットに経済効果を説明しても無視されることがある。原発の再稼動をしないことで、毎日85億円の国富が流出しても、実感がないために説得力が低くなってしまう。もちろん、東京オリンピックや原発再稼動の問題は、その他の要素もたくさんあるので、これだけで賛成・反対を決めるべきではないが、経済効果の重要性に対して、国民を納得させる力が見劣りしているように感じる。マクロを感じることは難しいが、軽視せず大事な要素として考えるべきである。